家づくりの資金計画

マイホームづくりの第一歩は資金づくり。資金計画がマイホームづくりを大きく左右するだけでなく、入居後の暮らしにまで影響を与える。そこで経済状況や金利、将来にわたっての生活予想などを入念にチェックして、計画的で無理のない資金計画を立てよう。

1. 家づくりは、これだけかかる。

住宅の「坪○○万円」の金額表示は本体価格と呼ばれるもの。ほかに屋外給排水工事、造作家具、冷暖房機器、外構工事(玄関ポーチ、ガレージetc)などの別途工事費が本体価格の約10〜20%必要。これに引越費、登記・融資の手数料、火災保険、上棟式の費用といった諸費用として1割程度必要。また、建て替えの場合は解体費・仮住まい費や、土地を取得する場合、土地取得費の他に仲介手数料が必要となる。

2. リスクの少ない資金計画、これが鉄則だ。

自己資金は総費用の3割を目途に用意しよう。自己資金は多ければ多いほど、住宅ローン借入額が少なくなるので、毎月の返済額や総返済額が少なくなり家計への負担も軽くなる。そこで融資を受ける際は、どれだけ借金できるかよりも、どれだけ毎月無理なく返済できるかにポイントをおく。毎月の返済額の目安は年収や各家庭の状況によって異なってくる。子供のいない家庭と子供が3人いる家庭とでは、収入が同じでも、10年先の家計支出の内容が大きく違ってくる。10年、15年先の家計簿を圧迫しないためにも、十分にシュミレーションして計画を立てよう。

3. 3〜5年をめどに自己資金を貯める

●サラリーマンは財形住宅貯蓄

将来、家を建てることがわかっているサラリーマンは、加入しておいたほうが得。給料やボーナスから希望の額を天引きして積み立てるもの。1年以上続け、申込日前2年以内に預入を行い、貯蓄残高が50万円以上なら、貯蓄残高の10倍(最高4,000万円)の財形住宅融資が受けられる。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を合せた元金合計で550万円まで税金がかからないといった特典もある。

●親からの贈与を利用

親から住宅資金の援助も可能。贈与税は税率が高いことで知られるが、「住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例」として、平成21年12月31日までの贈与で一定の要件に合えば、3,500万円まで控除することができる、といった制度があるので、検討してみてはいかが。

4. 住宅ローンの種類を検討しよう。

●固定金利と変動金利

住宅ローンの金利タイプは“固定金利型”、“変動金利型”の2つに大別でき、さらに変動金利型の中には、一定期間の金利を固定しておく固定金利期間選択型がある。
【フラット35】(民間金融機関と住宅金融支援機構の提携融資)などの“長期固定金利型”は借入時に返済終了までの返済額が確定するため、借入れ後に市場金利が上昇しても、将来にわたり借入れ時の金利に基づく返済額のままだが、借入れ後に市場金利が低下しても、借入れ時の金利に基づく返済額のまま変わらない。
“変動金利型”は、借入れ後に金利が低下すると返済額が減少するが、借入れ後に金利が上昇した場合、返済額が増大することとなる。
住宅ローンの選択肢は多様化しているので、自分に合った金利のタイプを選びたい。

●元利均等返済と元金均等返済

元利均等返済は、元金と利息の合計を返済の全期間を通じて均等に返済していく。元金均等返済に比べて返済総額は増えるが、毎月の返済額が最後まで変わらないため、長期の設計が立てやすい。また、何かとお金の必要な初期の返済額が元金均等返済より低くできる。これに対して元金均等返済は、元金は毎月確実に減っていくが、将来、給料が上がって支払い能力が生まれてきたとき、逆に支払い額が低くなるという、サラリーマンの収入曲線と逆のカーブを描く。これもまたライフサイクルとの兼ね合いということになる。

●ボーナス返済に頼りすぎない

ボーナスは景気や会社・個人の業績によって大きく乱高下する。収入源として不安定なので頼りすぎないのが原則である。

●家の後継者は親子リレー返済を

【フラット35】は親子2世代にわたって住宅ローンを払っていく方法もある。
親子リレー返済の後継者の条件は、以下のとおり。
(1) お申し込み人ご本人の子またはその配偶者で定期的な収入がある方
(2) お申し込み時の年齢が満70歳未満の方
(3) 連帯債務者になることができる方